「GIGS CASE OF BOØWY 2 DAYS 完全密着レポート」

2回きりの”特別な日”がついにやって来た。7月31日、神戸。8月7日、横浜。1mの至近距離で見たBOØWYから、50m離れたBOØWYまで、この2日間の4人を密着ルポ。彼らの持つEMOTIONのすさまじさを再確認して、今だ言葉もない・・・

ニューLP「PSYCHOPATH」の発売間近!

7月31日。神戸ワールド記念ホール。8月7日。横浜文化体育館。

CASE OF BOØWYはふたつの違った表情を持っていた。演奏メニューは2日とも同じ、全39曲。間に一度休憩を入れた2部構成になっていた。しかし、まったく違う印象を残したのだ。

アーティストとオーディエンスを行き来させながら大きなうねりを作り出し、それがエモーションにつながるようなライブ、それが神戸だった。

一方、神戸を経験したあとの横浜は、アーティストがオーディエンスをひっぱり続けた。スピードとパワー。すべてが1度目を大きく上回っていた。

これは、ふたつの”特別な日”のレポートである。

午前中にひと雨あったという神戸の空気はちょっと湿っぽく蒸し暑い。12時をまわった頃会場に着くと、扉のすき間から、松井恒松の太くドスのきいたベースの音がもれていた。リハーサルがはじまったばかりのとこらしかった。開演予定は4時30分。今から4時間後である。

重い扉を開け、ホールの空気に触れた瞬間、いつもとは違う緊張感がはしった気がした。僕の頭の中はすでに”特別な日”になっていたのかもしれない。タテに長いだ円形のホールに、6000近い赤いイスが鮮やかに浮かび上がっていた。まだ新しいホールは、BOØWYの太い音を包みこむように座っている。

氷室京介が右足を軽く前に出して「Funny Boy」のリズムをとっていた。布袋寅泰はステージの上から僕やカメラマンを見つけてピース・サインを送った。松井は本番と同じように両足をすこしだけ広げ、背すじを伸ばしてリズムを刻む。タオルを頭に乗せ、余裕の笑みを浮かべているのは高橋まことだ。

ひさしぶりに演る曲。ステージでは初めて演るニュー・アルバム「PSYCHOPATH」からの曲。そんな曲を中心に長めのリハーサルが進められた。PAクルー、照明クルー、ビデオクルーらが慎重に彼らの音を追う。

「On My Beat」では氷室の口が回らず自分でニガ笑いを浮かべた。「NO! N.Y」では早くも高橋のスティックが客席に飛んでいた。エモーションは動き始めていた・・・

定刻を10分ほどまわったところで、熱気と雑音の中に沈んでいた緊張感がステージに浮き上がってきた。鉄パイプで組み上げられた壁の向こうで「Intoroduction」が流れ、壁が左右に開いたかと思うと、勢いよく「Image Down」が炸裂した。

客席の中央左手、ステージより高いところにある客席からは、すべてが見渡すことができた。ステージのいちばん後ろには、高橋が背すじをピンと伸ばしてスティックを振っていた。そして客席は、そのリズムに合わせて波のようなコブシを突き出していた。

「Rats」「Moral」「Give It To Me」と「Moral」の曲が続く。「16」はシングル「Honky Tonky Carzy」のB面に入っていた曲だ。「Instant Love」からも4曲。1部は、多くの人がライブでは初めて聴くという音の曲が多い。しかし、昔の曲のファンという人も数多くいる。会場で会ったBOØWYのコピーをしてるという男の子のグループは、1年前「BOØWY」を聴いて好きになった。「パンクっぽい過激さがいいよね」と仲間で頷き合う。彼らがこの日ぜひ聴きたいといったのは「Moral」「On My Beat」「Bad Feelin'」などだ。他にもLP「Moral」が好きという男性や、LP「Instant Love」が好き、という女性が意外に多いのには驚いた。なかには4時間ライブとは知らずに、普通のライブだと思って来たという女子高生もいたが、彼女たちは昔の曲を聴いてどんなふうに感じただろうか。

ひさしぶりに演る曲が多かったせいか、それとも後半のことに考えを巡らせてか、1部では暗中模索の印象を拭い去ることはできなかった。全曲を通したリハーサルは1回やっているという話だったが、本番となるとやはり違ってくるものだ。

87.10月号B・PASSから抜粋